TMの個人ブログ

某文系Q帝大生の個人ブログ。新海作品やその他 諸々について記事を書いています。LAMUさんというお方の新海作品ブログにもお邪魔させて頂いております。

明里はなぜ、手紙💌を渡さなかったのか?

皆さんこんにちは🙋。

前回、前々回の記事を読まれてない方は、必ずそちらの方をご覧になってから、この記事を読まれてください。

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それではさっそく考察に入りましょう。

今回のテーマを解決するためには、明里の心情を知ることが不可欠です。しかしながら、新海監督が自ら著された小説には、明里が語り手の章はありません。そこで今回の考察のために、明里が語り手の章がある、加納新太氏が著された外伝小説『秒速5センチメートル』one more sideを購入いたしました。

ではまず、私が解答の根拠とした部分の小説本文をご紹介いたします。

速読をせずに、ゆっくりじっくり読むことをオススメ致します。

・小説本文

p 6、本書の冒頭部分になります。
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p 127、128 大きな桜の木の下での、kissシーン(サウンドトラックの曲名に合わせて、カタカナ表記ではなく英字表記にしています)
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p 132 岩舟駅での、貴樹との別れのシーン
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p 152 貴樹によるkissシーンの回想
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・解答の下書きを作成!

では、これらの本文中の記述から、解答に使えそうな重要ポイントを抜き出し、解答の下書きを作成していきます。下の画像をじっくりご覧になった後に、それらが小説本文の画像にきちんと存在するかを確かめてみてください。そうすれば、私がどのような思考プロセスを経て解答を作成しているのかが理解できると思います。

(注)丸や四角の記号は、キーワードや反復された名詞を表しています。

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・解答作成上の留意点

p 132の①②③は、並列された部分であることを表しています。並列されているので、どれか1つだけを取り除くなんてことを行ってはいけません。きちんと全て、解答に盛り込みます。私はここを解答の核(中心)にしました。


p 6の「断念」はキーワードですね。これが採れるか採れないかで、解答の印象(出来ばえ)がかなり違ってきます。

名詞に着目するというのは、非常に大事な視点です。漢字の持つパワーというはとても大きく、辞書的に説明すると長くなる熟語を解答に盛り込むのは非常に有効です。たいてい点数が低い解答というのは、ダラダラ本文や語句を説明したりしていて、内容が薄っぺらいものです。そんなものを解答に入れる余地などありません。現代文の解答というのは、重要ポイントだけが取り出されてまとめてある、極めて濃縮されたものなのです。制限字数はそれに合わせて設定されているので、30字程度の字数制限であろうと、200字の字数制限であろうと、それは盛り込むべき重要ポイントの多い少ないの違いだけで、やってることは全く変わらないのです。


p 127、128の「百パーセントの充足が永遠に近いほど引きのばされ」というフレーズは、「永遠の充足が感じられた」と読み替えてよいでしょう。


p 132の「③奇跡の価値を…」とp 128の「奇跡」についての内容を上手く繋げてあげましょう。

・解答を作成!

下書きをもとに、解答を作成していきます。それぞれの部分が、下書きの画像のどこの部分と対応しているか、見比べてみてください。

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本文p132には「①不十分すぎた」ことの「目的対象が書かれていないので、「大好きという強い感情を伝えるには不十分すぎた」と、補って具体化してあげましょう。


純粋で完成された」という表現は、p 152での、貴樹によるkissシーンの回想部分から持ってきたものです。

・解答

最終的な解答は以下のようになります。

貴樹とのキスのとき、今まで生きてきたことの全てを分かちあえ、完璧にお互いを理解できたことを経験した後では、手紙に書いたことなど、強い大好きという感情を伝えるには不十分すぎ、何も書いてないのに等しく、永遠の充足が感じられたという奇跡の価値をおとしめるもののように思われ、純粋で完成されたあの一瞬は絶対に言葉にすることはできないという断念の気持ちが生じたから。

つまり、2人は「本当に1番大切なものは、決して言葉に表すことはできない」ということに気づいたんですね。これは『秒速』全体において、非常に重要な概念だと私は感じています。

タイトルでは質問に合わせて「明里はなぜ、手紙を渡さなかったのか?」と書きましたが、実際は「渡せなかった」のが本当なのでしょうね。

「ここはこうしたらより良い解答になるんじゃないか」などの意見があれば、遠慮なくコメントをお寄せください! 感想、お待ちしております!🌠

以上になります。お疲れ様でした。👋😃💦

次回は「なぜ貴樹はメールを打つのか」についてです。実は、この考察は今回よりも格段に難しいんです…。それではまた次回!

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